奈良女子大学数理生命システム分野

2019年12月26日大域情報(GI)セミナー案内

とき　：2019年12月26日（木）14:40-16:10
ところ：奈良女子大学　G棟3階　G301

様々な嘘の噂を流す非協力戦略の下での条件付協力戦略の進化と社会ネットワーク構造の影響について

中丸麻由子 (東京工業大学環境・社会理工学院)

人は言語能力を獲得したおかげで、巧みに嘘をついて噂として広めることができる。世の中には様々な種類の嘘が存在しているにもかかわらず、「嘘」という言葉で一括りされることが多い。そのため、嘘のどの性質が社会的相互作用に影響を与えるのかがわかっておらず、社会ネットワーク構造が嘘の噂の伝播に及ぼす影響も明らかではない。
　そこで本発表では以下のようなエージェントベースシミュレーションを構築した。モデルでは社会的相互作用として２者間のギビングゲームを行い、２者間で噂の伝達をするとした。噂を立てるときに、過去の経験や他人から受け取った噂を元にして新たに噂を立てる場合と、それとは独立に噂を立てる場合の２通りを仮定した。ギビングゲームと噂伝達の回数を変化させることで、噂の流れる速度を変えた。噂の交換やゲームをする相手を社会ネットワーク上から選ぶ場合とランダムに選ぶ場合を仮定した。数種類の嘘の噂を定義し、嘘が条件付協力戦略の進化へ及ぼす影響を調べた。すると、嘘の種類によって、条件付協力戦略が進化しやすくなる社会ネットワーク構造が異なることがわかった。