研究室分属希望の学生へ

研究活動の欄でも紹介しているように、私自身は数理モデルを用いた生物一般の数理的解析を専門としています。様々な現象を抽象化して数理モデルとして記述し、モデルの解析を通じて現象をよりよく理解したいという視点の研究は、生物学にとどまらず様々な研究分野で用いられています。今のところは生態学や進化生態学といった個体レベル以上の現象の問題に取りくんでいますが、将来的には細胞レベルの生命現象や社会学などの分野にも手を広げたいと考えています。

数理モデルの解析にはある程度数学の知識が必要になります。しかし、紙と鉛筆だけで解けるモデルはあまりないので(既にやり尽くされてしまった?)、モデルの解析には計算機(主に数値計算)を使うことが多いです。近年の計算機の飛躍的な発展により、計算機の中に仮想的な生物集団を構築してがんがんシミュレーションするという手法も注目されるようになってきているので、プログラミングの能力も必要です。

4回生からの研究室分属は、卒業までの1年の間に興味のあるテーマの選択、モデルの構築及び解析、モデル解析の結果と現実との比較検討、を通じて次のことを達成することを目標とします。

  • 自分で主体的に新しい問題に取り組んでこれを解決すること。
  • 自分が行った研究を口頭発表(卒研発表会)及び論文の形にとりまとめること。

以上の2点は、大学院へ進学する・しない、もしくは、研究者を目指す・目指さない、に関わらず、社会で活躍するために求められる重要事項だと考えます。1年間の研究室分属を通じて、最低限これら2点を達成して卒業することを望みます。意欲ある学生を期待します。

社会に出て責任ある仕事をする・任されるためには、数理生物という専門知識はさておき、自分で資料を集めて理解し、未解決の問題を洗い出してこれに取り組み、自分なりに考えて取りまとめたことを文章の形に残し、同時に内容を効果的に他者に伝える能力が必須だと考えます。当研究室では、卒業研究を通じて以上の能力を身に付ける事を目指しています。研究室に配属になって卒業するまでの 1 年はあっという間に過ぎてしまいます。大学院に進学してさらにこうした能力を身に付ける意欲のある学生を歓迎します。

スケジュール(予定)

  • 4回生
    • 前期:数理モデル関連の書籍の輪読。最も基本的な数理モデルについて学びます。
    • 連休明け頃:卒論テーマの決定。モデル解析に取りかかる。
    • 2月中旬:環境科学コース卒論発表会(予定)
    • 3月上旬まで:研究室卒論発表会
    • 3月下旬:卒業論文の提出(過去の卒業論文は学科事務および当研究室にあります)
  • 修士1回生
    • 専門テーマへの取り組み。様々なモデリングの習得。シミュレーション作成。
    • 国内外での学会・研究集会に参加して研究発表をしてもらいます(年1〜2回)。
  • 修士2回生
    • 国内外での学会・研究集会に参加して研究発表をしてもらいます(年1〜2回)。
    • 修士論文完成(過去の修士論文は学科事務室および当研究室に所蔵されています)

2016. 7. 15 更新